テレワークとゴーレム
僕はしばしば、自宅でテレワーク をします。
特にこのご時期、コロナ感染防止の影響もあり、コワーキングオフィスやカフェなど、外の施設の利用を控えているため、ますます引きこもり気味になっています。
朝起きてから夜寝るまで、
まるっきり、まるっきり、まるっきり、
あ、すみません (^^;)
パソコンの前に釘付け、という日も多いです。
ここで問題が発生します。
一日中パソコンの前に座って作業すると、異常な運動不足になります。
はい、異常なほどです。
頭も胴も足も、ほぼ同じ姿勢で固まったまま、目と手だけがクルクルパチパチ動いています。
1日中やっていると、肩が凝り、次第に目がよく見えなくなってきて、
頭の中は「味噌ラーメン食べたい」など、仕事と無関係なことで埋め尽くされます。
体中がコチコチで、体内の血流も循環も止まってしまっています。
もうこのままだと石になって、やがてゴーレムになってしまいます。
※ゴーレム
ユダヤ教の伝承に登場する、自力で動く土や泥、石造りの人形。
右がゴーレム、左は誰だか不明
↓
ゴーレムにならないように、僕は運動不足の回避策として、ジョギングを始めました。
ジョギングするまでの顛末は、こちらをご覧ください。
テレワーク中に訪れる人々
さて、自宅でテレワークをしていると、様々な人が訪れます。
一人で自宅にいるとき、作業に集中しているときにはピンポン鳴っても無視しますが、そうでないときには対応します。
訪問者というと、例えば・・・
宅急便、町内会の回覧板、聖書売り(本当に来たことあります)、近くでパン屋を始めたので是非来てくださいという訪問、そして、ガスの点検員などです。
先日、そのガスの定期点検の人が来ました。
40代半ばぐらいの男性です。
仮にこの人を「兄さん」と呼びましょう。
見た目はごく普通の点検作業員なのですが、この兄さん、
すごい話好きだったんです。
作業しながら話し続けるガス点検員
その日、僕は自宅で一人だったので、兄さんに対応しましました。
ガス点検は、最初に挨拶して後は任せ、最後にサインして終わりぐらいに思っていました。
しかし結局は、風呂場、キッチンなど、ちょこちょこと場所を案内して、兄さんに付き添って歩いている状態になりました。
僕は作業の途中ですので、「早く作業に戻りたい」と思って、最低限の会話で離れようとするのですが、
兄さん、なかなか離してくれません。
僕のことを離さずに話しています。
ん?
いやとにかく、ずっとしゃべっているのです。
言葉を切って向こうに行こうとしている僕にかまわずに、ずっとしゃべり続ける。
もちろん、世間話ばかりをしているのではありません。
ガス器具の使い方、注意点などの話が中心なのですが、それがいつの間にか脱線してきて、
「この辺のお宅は古いおうちも多くてねえ、ガス器具も相当古くなっているんですよ」
「ネズミが線を噛み切って、コンロの火がつかないこともあるんだよね」
「古い家を取り壊すと、そこにいたネズミが、いっせいに他に家に引っ越すんですよ」
あれ?
タメ口?
この兄さんとは、別に友達になった覚えはないけど・・・。
途中、マブダチのような馴れ馴れしい口調も交えて、とにかく喋りまくるんです。
40代ぐらいなのに、まるで、久しぶりに町内会の寄り合いに来たお年寄りのように、しゃべりまくります。
※マブダチ
「マブ」いダチ。つまり特別に仲が良い友達のこと。沖縄の「ハブ」とは関係ありません。
終わらない兄さんの話
僕は想像しました。
ガス点検で各戸をまわるとき、住人に対していろいろ気を使うに違いない。
高齢の人のお宅では、半分お話相手になってあげることも必要かもしれない。
そうやってうまくコミュニケーションをとっていかないと、スムーズに作業できないことだってあるかもしれない。
ペラペラしゃべっていはいるけど、実は心の中には風が吹きすさんでいて、孤独な作業なのもしれないなあ。
兄さんから離れられないだけに、あれやこれや想像ばかり膨らませていました。
でもね兄さん、と僕は思います。
明らかに「会話を断ち切ろうオーラ」を出している僕のような人に対しては、長々としゃべってはいけないと思うよ。
僕はもう、仕事に戻りたいんだから。
さすがにその旨を口に出そうとしたとき、兄さんは、作業完了の電子サインの準備を始めました。
しゃべりながら準備しています (^^;)
僕の苦笑いをしたままの口元は、ゴーレムのように固まりつつありました。
※ゴーレム
ユダヤ教の伝承に登場する・・・あ、もういいですね
ところで、最後に兄さんはちょっと気になる話をしたのです。
ガス点検員を名乗る詐欺
「この前もあったんですよ」と、敬語に戻った兄さんは言いました。
それは、二人組で各戸を訪問する、ガス点検員の詐欺の話でした。
「ガスの点検です」と名乗った二人組が、各戸を訪れるのだそうです。
(〇〇ガスです、とその地域の事業者名を名乗るそうです)
「これからガスの点検をします」と言って一人が説明を始めるのですが、後から思うと、もう一人の姿がいつの間にか消えていたらしいのです。
もう一人はどこへ行ったのか?
そうです。
家の外にある、給湯器の前です。
給湯器の前に行って、栓を半分閉める細工をしていたのです。
やがて説明している者と合流して、家に入り、キッチンへ行き、点検を行うがごとく、コンロを点火する。
すると、炎がよく出ない。
あたり前です、栓が半分閉まっているのですから。
「ああ、これはもう古くなっているので炎がよく出ないのです。修理が必要ですね」
そうして修理をするフリをして、その場で修理費用を支払わせるのです。
しかし、点検員が去った後も、なぜかコンロの炎はよく出ません。
そこで、本物の事業者に連絡がいって、僕のウチに来た「兄さん」がそのお宅を訪問したそうです。
兄さんは、このお宅に着くや否や、すぐに外の給湯器のところに行って確認したそうです。
案の定、栓が半分閉められたままでした。
栓を通常の状態に戻すと、コンロの火はこれまでの通り正常に出たというのです。
詐欺の二人組の行方は、もはやわかりません。
「公共機関」に対する無条件の信頼
なんという卑劣な手口でしょう。
例え高齢者でなくても、こうした巧妙な芝居をされては、気づかないケースも多いのではないでしょうか。
この背景には、僕がそうなのかもしれませんが、日本人が「公共機関」を信頼するという心理が働いているような気がします。
電気、ガス、水道。
公共性の高い機関やそこで働く人に対して、我々はおそらく、最初から信頼感を持っています。
彼らはいつも、私たちの生活を支えてくれているのだ。
半分は社会的な仕事なのだ、と。
もちろんその通りなのですが、ここにニセモノが入り込んだとしても、信頼感が逆に邪魔をして、なかなかウソが見破れないのではなかろうか、と思いました。
ガス点検員を名乗る詐欺の事例
東京ガスのサイトで調べてみると、実際に次のような犯罪行為があるようです。
いくつか抜粋します。
- ガスの点検員や集金員などと称して訪問し、ガス料金や点検料等をだまし取る。
- ガス警報器の取り付け勧誘として訪問し、代金をもらって姿を消す。
- ガス漏れやガス機器の検査と偽って、宅内に入って金品を盗み取る。
→これはもはや泥棒・強盗ですね。 - 給湯器が故障していると偽り、ニセの部品を見せて交換したかのように見せかけ、修理代金をだまし取る。
→兄さんの話に近いケースです。 - ガスメータの取替をするとガス料金が安くなると偽って、ガスメータの取替を勧め、実際の取替は行わずに代金だけをだまし取る。
- ガスの点検などを装ってドアを開けさせ、部屋に侵入して暴行する。
→単なる暴行犯で、ガスはもう関係ないです。凶悪です。
東京ガスサイトより抜粋・編集しています。
これまでに、どれかの手口に似たケース、心当たりのケースがあったでしょうか?
くれぐれも気を付けましょう。
ガス点検詐欺などを防ぐには
詐欺を防ぐにはどうするか、東京ガスでは次のように呼びかけています。
- 「東京ガス協会」などと名乗り、アンケートと称して家族構成やガス・電気代など、お客さま個人の情報をお聞きすることはありません。
- 「検針結果のお知らせ」(検針票)でガス料金を集金することはありません。
- お客さま宅の安全向上のため警報器の取り付けをお勧めしていますが、取り付け前に代金を請求することはありません。
- ガス設備の定期保安点検、ガスメータの修理や取替の作業では費用を請求することはありません。また、必ずはがきや訪問チラシ等により事前に訪問のご案内をしております。
- ガスメータは計量法に基づき10年(一部7年)に一度、定期点検ではなく、定期取替えを行っております。お客さまへのご案内は東京ガス及び工事会社の電話番号を記載したハガキで行っております。
東京ガスグループの作業員は、東京ガスグループの「身分証」を携行しております。不審な場合は必ず「身分証」の呈示を求めてください。なお、不明な点がありましたら、東京ガスお客さまセンターへお問い合わせください。
東京ガスサイトより引用しています。
つまり、
「検針票、ガスメータの修理や取替の作業で料金を請求することはない」
「作業員は身分証を携行している」
ということですね。
怪しいと感じたら、「身分証」の提示を求めましょう。
もし拒否したり「身分証」を持っていなかったら、警察に通報してもよいかもしれませんね。
全国のガス会社はいくつある?
こうした卑劣な詐欺はともかく、我々の生活を支えているガス会社。
全国で、いったい何社ぐらいあると思いますか?
10社、20社?
いえいえ。
実に200社以上あるそうです(Wikipedia参照)。
200社以上!
お湯を使う、コンロを使う、暖房を使う、時には電力も利用する。
ガス会社は、まさにライフラインを支えてくれています。
だから私たちも、安心して生活できるのですね。
おしゃべりなあの兄さん。
今日もどこかで頑張ってくれているんだなあ。
ではまた次回!
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