宇宙開発競争が激化しています。
旧ソ連、アメリカについで、ついに中国も火星に探査機を着陸させました。
それ以外にも、6つの国と地域が火星に乗り出しています。
先に行った者勝ち、やった者勝ち。
各国が宇宙強国になろうとして、数千万kmの彼方に向かって我先にと、しのぎを削っています。
人がどんどん宇宙へ乗り出す一方で、信じがたい警告があります。
故ホーキング博士は、こう言っていました。
「宇宙人と接触しないように」
「人類がまだ発展段階の今、地球に宇宙人が来ると、人類にとって良い結果をもたらさないかもしれない」
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ハーバード大学のエイブラハム・ローブ教授も、2021年5月に次のような声明を発表しました。
「地球外生命体との平和条約を結ばなければ、
人類は6,600万年前に絶滅した恐竜と同じ運命をたどる」
なんということか・・・
地球外生命体(E.T.)との接触で、人類は滅亡してしまう。だから、彼らと和平を結ばなければ生き延びられない、
と言っているのです。
両者のメッセージはいずれも、人類が異星の存在に対して無力であると警告しています。
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今から70年前
人類が、宇宙では全く未熟な存在であることを思い知らされる事件が起きました。
第2次世界大戦後の1951年
地球の上空60kmを、時速6,400kmというスピードで飛行する物体が探知されました。
明らかに地球のものではありません。
それは北大西洋上空からアメリカ東岸へ移動し、轟音を発しながら、首都ワシントンで地上に下りてきました。
人々は、パニックになって逃げ惑いました。
警察と軍が出動して周囲を囲みます。
やがて、その銀色の円盤状の物体から、奇妙な服と丸いマスクをかぶった生命体が現れました。
その生命体は「英語で」こう言ったのです。
「我々は、平和のために善意を持ってきた」
●地球の静止する日
もちろん、これはフィクションです。
ワシントンD.C.に、異星人が降り立ったことはありません(たぶん・・・)。
1951年のアメリカのSF映画の古典
「地球の静止する日(The Day the Earth Stood Still)」の世界です。
監督は、後に「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」などを手掛ける、名匠ロバート・ワイズです。
この映画は、2008年にキアヌ・リーブス主演でリメイク版が作られましたが、
1951年版の方が圧倒的に完成度が高いです。
もちろん、CGなどの特殊効果はリメイク版の方が進化していますが、内容では57年前のオリジナル版が勝っていると思います。
緻密なストーリー展開や、人々の感情を丹念に描く演出で、圧倒的な緊張感を生み出しています。
※ご注意
以後、映画のネタバレがあります。
しかし、きっとこの記事を読んだ後に映画を観ても楽しめますので、安心して読み進めてください (^^)
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●異星人が来た理由
4億キロの彼方から、地球にやって来た異星人。
彼は自分を「クラトゥ」と名乗ります。
昆虫のような体ではなく、タコのような姿をしているわけでもない。
体も顔も声も、地球人と全く同じです。
彼は、地球のラジオ電波を傍受して、地球の情報や言語を学んだのだといいます。
いったい何のために、彼は地球に来たのか。
アメリカの大統領補佐官が、彼に来訪の目的をたずねますが、
彼は答えません。
彼は言います。
「私は、世界中の代表者の前で地球に来た理由を話したいのです。
一つの国家と話せば、幼稚な嫉妬や疑問を招くだけです」
そして、こう語ります。
「地球の将来は、危機的状況です」
ところが、大統領補佐官は、各国の代表を一同に集めるのは困難だと訴えます。
なぜならば、国ごとに事情があり、国同士の対立がある。
各国の足並みを揃えるのは不可能だ、と。
(第2次大戦後の1950年代は、東西冷戦をはじめ、世界が緊張と疑念で覆われていたようです)
●科学の言葉
厳重な警備から抜け出して、クラトゥは世界的な科学者であるバーンハート教授を訪ねます。
クラトゥには、今すぐ真剣にメッセージを受け止めてくれる人が必要なのです。
彼が訪ねた時、教授は不在でした。
そこで彼は、教授に「科学の言葉で」メッセージを残します。
研究室の黒板いっぱいに、宇宙力学の数式が書かれています。
教授が何週間も取り組んでいるにもかかわらず、いまだに解けていない数式です。
クラトゥは、一目見ただけでその式を解いてしまいました。
そして、黒板に「解答のヒント」を書き込んで去りました。
外出から戻った教授は黒板を見て驚愕し、それを書いた人物を探しました。
そして目の前に現れたのが、クラトゥでした。
教授はたずねます。
「君がこれを書いたのかね?」
クラトゥはうなずきます。
そして教授に聞きました。
「もう式は解けましたか?」
「まだです。だから君を呼んだのだ」
クラトゥは、ごく簡単な問題だと言わんばかりに説明します。
「この式を代入すれば解決します。それで最初の項を戻せる」
「でも他の項は?」
「定数変化法ですよ。これが正解です」
まるで学生に教えるかのように、教授に解答を教えるクラトゥ。
教授は驚き、そしていぶかしげに問います。
「自信満々だね」
クラトゥは答えます。
「ええ、これで惑星間を移動したのです」
●クラトゥが来た理由
クラトゥは、自分が地球に来た理由を教授に打ち明けます。
「私たちは、地球人が原子力を発見したことを知りました。
もし地球人が、宇宙で原子力を暴力的に使うことがあれば、他の惑星を脅かすことになる。
そうなれば、地球は異星からの攻撃の対象になるのです。
地球の将来は、危機的な状況なのだ。
私は、それを警告するために来たのです。
もし地球人が、私の言葉に耳を貸さなければ、私は「力」を行使するしかありません。
それは地球を消滅させる「力」です」
教授はたずねます。
「そんな力が存在するのかね?」
「はい、あるのです」
教授はクラトゥの言葉を聞き、そして全てを信じ、各国の各国の代表者を集める約束をします。
その一方で、クラトゥに相談をします。
「力」の一端を世界に見せてほしい」
事の重大さを知らしめるために、世界に衝撃を与えるのだ。
そうすれば、みんな耳を貸す。
方法は任せるが、誰も傷つけず、破壊せず、ほんの一例を見せるだけだ。
クラトゥは笑みを浮かべます。
「わかりました。
驚異的だが破壊的ではない。面白い課題ですね」
●クラトゥが見せた「力」
クラトゥは、スマートでそして驚くべき方法で、教授の要望にこたえます。
彼は、世界中の電力・動力を30分の間止めてしまったのです。
世界中の車、電車、バイク、電力装置、輪転機、家庭の電化製品、モーター、
遊園地の乗り物、工場の機械、電話、無線・・・
全ての電力・動力を止めたのです。
ただし、病院や命に関わる施設を除きました。
街全体が麻痺して人々はパニックに陥ります。
しかし、正確に30分後、何事もなかったように全てが元に戻りました。
人々の騒ぎをしりめに、教授はクラトゥの思慮に感嘆しました。
「実に素晴らしいアイデアだ」
●異星人を捕まえろ
しかし、この行動は、思わぬ事態を引き起こします。
政府は、危険な異星人(クラトゥ)を捕獲するため、非常事態を宣言しました。
生死を問わず、彼を捕まえるのだ。
そして、ついにクラトゥは軍隊に追い詰められ、兵士に撃たれました。
彼は、あっけなく、殺されてしまったのです。
4億kmを旅して人類に伝えられるはずだった「善意」は、人類自身によって抹殺されました。
まるで、大事な親書の意味をわからない子供が、いたずらにその紙を破り捨ててしまったかのように・・・
●クラトゥのメッセージ
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クラトゥが死ぬと、残された装置が動き出しました。
宇宙船の前に立っていた巨大なロボットが、クラトゥの異常を探知して動き出したのです。
ロボットは、クラトゥの遺体がある場所を突き止めます。
一つ目のようなところから強力な光線を発して建物の壁を壊し、クラトゥの遺体を運び出します。
ロボットは、クラトゥの遺体を宇宙船の中に運び込むと、特殊な装置に横たえます。
そして、未知の装置を操作し、クラトゥを蘇生させます。
やがて、目を開けるクラトゥ。
しかし、彼は生き返ったわけではなく、しばらくの間命を伸ばしただけです。
あとどれくらい生きるかは、誰にもわかりません。
息を吹き返したクラトゥは、最後の仕事をします。
彼は、宇宙船の前に集まった各国の代表者たちの前に現れました。
バーンハート教授もいます。
そして、クラトゥはついに、彼らに向けて重大なメッセージを話し始めます。
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「私は、もうすぐ出発しなければならない。
宇宙の発展は進み、異星の文明は接近を続けている。
しかし宇宙では、どの集団からの武力も見逃すことはできない。
ただし、責任を持てば自由は許される。
皆さんの祖先は、法によって秩序を作り、警察によって維持した。
我々も、その方針を尊重してきた。
我々にも、惑星間で相互防衛を行い侵略に対処するシステムがある。
そのために、ロボットが宇宙船で惑星間を巡回して、治安を守っているのだ。
ロボットには、絶対的な「力」が与えられている。
その力を行使し始めたら、もはや誰にも止めることはできない。
他者を攻撃する代償は、はかり知れないのだ。
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この強力なシステムのおかげで、我々は武器も持たずに、暴力や戦争を回避している。
完璧とは言えないが、このシステムは機能しているのだ。
私は、それを伝えに来た。
地球内部の運営は任せるが、
もし暴力を拡大させれば、地球は燃え殻と化すだろう」
目を見張ってクラトゥの話を聞く、リーダーたち。
そのまなざしは真剣そのものです。
「単純な選択だ。
我々と平和に暮らすか、このまま消滅の危機にさらされるかだ。
返事を待っている。
決断は、あなたたち次第だ」
静まり返る、宇宙船の前の広場。
どの国の指導者たちも、クラトゥを見守っています。
●人類がなすべき決断
皆のまなざしを見届けたクラトゥは、宇宙船に戻ります。
「ゴート、ベレンガ!」
ロボットに何かを命じて、ロボットと共に宇宙船の中に消えるクラトゥ。
円盤状の宇宙船は、轟音を立てて光り始めます。
驚いて叫び、逃げ惑う人々。
やがて光る円盤は空に向かって上昇し、宇宙へ帰って行きました。
宇宙の彼方から来た、異星人クラトゥ。
彼は、人類に宿題を置いていきました。
それを生かすのか、殺すのか、人類の判断次第です。
このストーリーを見ていると、壮大な宇宙の問題だけでなく、ごく身近な社会や人間の問題を連想させることでしょう。
原子力だけではなく、我々の周りには、命を脅かすいくつもの要因があります。
自然災害、飢餓、戦争、犯罪、感染症・・・
常に危険と隣り合わせで生きている、といってもよいでしょう。
人の判断によって行動は変わり、社会も変わります。
果たして私たちは、自分自身に対して、責任をもった判断をしているのでしょうか。
宇宙人に警告される前に、ましてや宇宙人と衝突する前に、
我々が安心して生き延びるためのより良い選択を、
真剣に考えてみたいものです。
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ではまた!
(エイブラハム・ローブ教授の声明については「まぐまぐニュース!」サイト
ホーキング博士については「Reuters(ロイター)」サイト
より引用・抜粋・ 加工しています)
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