今、あなたがすれ違った人。
あなたはその人の顔を覚えていますか?
目、口、顔の輪郭、人の顔の特徴はいろいろあります。
それらを記憶して、再び会ったときに思い出すことができるでしょうか?
僕自身はというと・・・
人の顔を覚えるのは、不得意だと思います (^^;)
一度会って話したことがあるのに、後日うっかり「初めまして」などと言ったり、その人だと気付かなかったり・・・
そういう失敗が、過去に何度かありました。
あ!
と思ったときには後の祭 (^^;)
思い出しても汗が出てきます・・・
ただ僕の場合、覚えられないというより、そもそもよく見ていないことが原因だったと思います。
いい年をして言うことではないですが、基本的に「人見知り」なんです。
まあつまり、自意識過剰ですね (^^;)
ところで、世の中には、知人の顔を見ても誰の顔かわからない、という悩みを持っている人がいます。
「相貌失認(Prosopagnosia)」または「失顔症」と言われています。
相貌失認とは、目・鼻・口などの顔のパーツや輪郭を認識することはできるけれども、
「顔」全体を認識することができない。
簡単に言うと、
目の前の相手が誰だかわからない、という状態です。
著名人の例では、俳優のブラッド・ピットが、以前「自分は相貌失認ではないか」と告白しました。
脳のメカニズムによる症状だそうで、訓練によってある程度は改善できるようですが、顕著な症状だとちょっと深刻な悩みですよね。
そして、世の中には、相貌失認症の正反対の性質を持つ人もいます。
一度見た顔は、ほとんど憶えている。
「何千」という顔を記憶することができる。
人並み外れた顔認識能力を持つ「スーパーレコグナイザー(Super recognizers)」です。
AI(人工知能)による顔認証
あなたは既に、体験しているでしょうか。
建物の入り口で、マスクをして歩いたまま「カメラ」に顔を向ける。
わずか0.5秒で個人を認証され、体表温度を計測され、セキュリティのゲートが開く。
こんなシステムが、日本の多くの企業やショッピングモール、スタジアム、映画館などに導入されているようです。
AI(人工知能)による顔認識システムです。
1.5mの距離で認識できる場合、わざわざ端末の前で立ち止まる必要もなく、マスクやメガネをつけたままでも、
たとえ髪形が変わっても、個人を判別できるようです。
スーパーレコグナイザーとは何者か
AIだけでなく、我々人間の能力にも計り知れないものがあります。
「スーパーレコグナイザー」と呼ばれる人たち。
ほとんどの人は、それまで見た顔の約20%しか覚えていないそうですが、
スーパーレコグナイザーは、これまで見た顔の80%を思い出すことができると言われています。
人口の1~2%程度、こうした人は存在するようです。
科学的には、そのメカニズムは解明されていないようですが、脳の紡錘状回顔領域(fusiform face area; FFA)という部位に関連しているのではないか、と言われています。
例えば、ホテルのフロント係やドア係、あるいは営業マンやコンサルタント、政治家など。
人と会う職業や相手を覚えているとよい職業に、こうした能力は向いているかもしれませんね。
そして、特に際立った活躍場所と思われるのが警察の「見当たり捜査」です。
全身に電気が走る
見当たり捜査(みあたりそうさ)とは、警察の捜査手法の一つです。
警察官が、容疑者の顔写真や外見の特徴を記憶して、繁華街などの雑踏の中から容疑者を見つけ出すのです。
足取りがつかめずに追跡不能となった容疑者、つまり「蒸発型被疑者」を発見するのに非常に有効な手法だといいます。
1978年に大阪府警が全国で初めて導入し、その後、全国各地に専従捜査班が作られたそうです。
大阪府警のとある女性捜査員の例です。
彼女は、ジャンパーやズボンといった私服姿で街に溶け込みます。
そして、雑踏の人々の一瞬の表情に全神経を研ぎ澄ませるのです。
「全身に電気が走る」
彼女は、容疑者を見つけたときの感覚をこう表現します。
「学生時代の同級生ならば、久しぶりに再会したとき、
たとえ相手の容姿が変わっていても同じ人物だと分かる。
それに近い感覚です」
俺の目はごまかせん
埼玉県警のある警部補の例。
彼は「850人」もの指名手配犯の顔を覚え、街中で殺人犯などを発見してきました。
彼の発見の決め手は、ズバリ「目」だそうです。
「歳を取っても目元は変わらない」といいます。
彼は毎日、朝・出勤後・夜の3回にわたり手配写真を見て、頭に焼き付けています。
才能に頼るだけでなく、並々ならぬ努力で捜査を支えているのです。
兵庫県警の、ある警部補の例。
声をかけられたある容疑者は、彼に向かってこう言いました。
「人違いや。なんも知らん」
しかし、彼はこう詰め寄ります。
「俺の目はごまかせん」
容疑者は、やがて堪忍してしまいます。
pixabay
5年半で90人余りの逮捕に関わったこの警部補は
「容疑者本人が気づかない特徴までつかんでいる」
と言い切るそうです。
彼は、容疑者約200人の特徴をまとめた手のひらサイズのカードを作り、
出勤前や休憩時間などに、何度も何度も見返して頭にたたき込むことを日課としています。
やはり、絶え間ない努力が彼を支えているのです。
そして極めつけが、イギリスのこの男。
バーミンガムの警察補助員、通称「メモリーコップ」です。
「メモリーコップ」の謙虚な素顔
イギリス、ウェストミッドランド州の警察補助員アンディ・ポープ氏は、その記憶力で、これまでに「2,000人以上」の容疑者を発見してきたと言います。
驚異的な顔認証能力と記憶力で、「メモリーコップ」の異名を持っているそうです。
彼は、職場に30分早く到着して、まずパソコンを立ち上げ
その日のミーティングで取り上げる容疑者の写真をざっと見ます。
すると、それだけで全ての容疑者の顔を暗記してしまうというのです!
「1日に」発見した容疑者の最高記録はなんと「17人」。
正真正銘のスーパーレコグナイザーです。
彼は、容疑者を発見したときのことをこう語ります。
「この人だと直感して
ありがたいことに、それが正しかっただけだ」
いったい、彼の能力がどう作用しているのか、自分では言葉にできないのでしょう。
そして彼もやはり、努力を怠りません。
指名手配中の容疑者の情報を、常に自分の中でアップデートし続けています。
彼は、自分についてこう述べています。
「自分に、写真のような正確な記憶力があるのかどうかは、わからない。
誕生日や記念日などは、妻が仕切っているんだ。
僕は、日付を覚えることに関してはまるでダメなんだよ」
日本と海外、どちらの捜査員の例を見ても共通していること、それは
- 職務に対して非常に真面目であること。
- 人知れず努力を続けていること。
- そして、自身が言葉に表現できない強力な記憶力、直感力、潜在能力を総動員して職務に当たっていること。
自分を信じて、ひたすら努力し、
最大限に能力を引き出す。
スーパーレコグナイザーであり、見当たり捜査員である彼らの姿勢と努力は
我々の大きなお手本になるかもしれませんね。
ではまた!
(人工知能(AI)については「ニュースイッチ TOP」サイト
https://bit.ly/3giZsnD
見当たり捜査班女性班長については「産経WEST」サイト
https://bit.ly/3svxZBA
埼玉県警の警部補については埼玉新聞サイト
https://bit.ly/32mEAUz
アンディ・ポープ警察補助員については BBS NEWSサイトとexiteニュース
より引用・抜粋・ 加工しています)
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