6月19日(水)
17℃、10.3km走った。
年間で一番夜明けが早い時期なので、走り始めて早々に眩しい朝日が見える。
多摩川土手に出ると、川沿いの緑地帯に靄が立ち込めた一帯があった。
ここで霧を見るのは初めてではないが、明るい時期にこれほどはっきりと見たのは初めてだ。
下の緑地へ降りるので、楽しみだ。
土手を走っていると、ふと、正面からおばあさんが僕に向かって寄ってきた。
走っている僕のほぼ正面から寄ってきたのだ。
えっ?
おばあさんは
「あの、すみません、すみません」
と言ってきた。
4年間ジョギングを続けてきたが、走っている最中に見知らぬ人に声をかけられたのは初めてだ(いや、見知った人でもそんなことは無い)。
だって、普通走っている人に、しかも正面から声をかけないだろう?
ぶつかるかもしれないし、相手が走るのを強制的に止めてしまうのだから。
しかも、朝の5:00だ(笑)
おばあさんは軽装で、土手を散歩している様子。
トラブルにあったふうでもなく、ただ単に道を尋ねているかのような感じだった(瞬時の印象)。
でもこっちは走っている。
もう10kmのうちの半分、4~5km地点で、体が温まって走行中の呼吸も安定している。
ここで急に止まるなんて、とてもしんどいのだ。
さらに、話でもして呼吸が通常に戻ってしまって、そこからまた走り出すなんて、勘弁してほしい。
マニュアル車でいえば、トップギアで走っていたのを急に止めて、再びローギアからやり直すようなものだ。
彼女の様子からして大した用事ではなさそうだし、これは止まれないな。
僕はそう判断し、悪いけど、おばあさんをよけてすれ違おうとした。
すると
「あの、白いのなんて言うんでしたっけ?」
と後ろの方を手でさしながら、彼女は言った。
ええ?!
どうやら、緑地帯に広がる靄を何というものか忘れて、僕に聞いてきたらしい。
ハアハア走っている僕に。
僕は
「(ハアハア)・・・ちょっと」
と言ってすれ違った。
呼吸でそれ以上話せない。
するとおばあさんは
「ああ、わからないの・・・」
とつぶやいた。
いやいや。
そうじゃないの。
息を切らしているから、答えられないの。
ていうか、走ってて急に止まるのは、苦しいの。
僕は振り返る余裕もなく、そのまま走り去った。
おばあさんは、一人で何やらしゃべりながら遠ざかって行った。
もし散歩していたなら、普通に止まって答えただろう。
あるいは走っていても、おばあさんが何か助けを求めているなら、止まっただろう。
でも、そうではなかった。
ただ単に、ちょっと聞いてきただけ。
まあ、彼女は僕がちょっと立ち止まるぐらいできると思ったんだろうけど・・・
おばあさんに会う前と、緑地帯に下りてからは、何度か止まって写真を撮ったけどね(笑)
ただそれは、ジョギングのペースを崩さないように、予めスマホを手にしておいて、一瞬だけ止まって撮るぐらい慎重にやったのだ。
やがてそのあと、緑地帯に降りて靄の中を走ると、この上なく気持ちよかった。
緑地帯を出るころには、靄は跡形もなく消えていた。
蒸発したのか、風に吹かれて散ったのか。
ほんの何分間かの現象だったのだろう。
まさに、自然が作った芸術だった。
ちなみに、霧と靄があると思うが、霧は視界が1㎞未満で、靄は視界が1㎞~10㎞未満とされているらしい。
視界100m以下のものを濃霧と言い、いずれも正体は水滴だ。
まあ、ぼんやりしたものだから、それらの違いは明確には言えないかもしれないが。
いやあ、気持ち良かった。
川沿いのコースをとってよかった!
ではまた明日!