なぜ、作業は続かないのか
あるとき僕は、新しいビジネスを始めようと決心しました。
これまでやったことがないサービスの開発です。
いずれ、今の仕事は先細りして衰退してしまう。
そう思ったからです。
決心をして、サービス内容を考え、Webサイトや名刺を作り、準備を進めました。
しかし・・・
日々の仕事に追われてくると、新ビジネスの準備は徐々に後回しになっていきました。
焦る気持ちが起こるたびに、自分に言い聞かせます。
「大丈夫、また落ち着いたら再開すればいいんだ。
何ヶ月か計画がずれたからって、大勢に影響はないだろう」
ところが、日々の忙しさに埋没していくうちに、新ビジネスの準備は3年もの間止まってしまいました!
自分では一瞬のことなのですが、実に3年という月日が経っていました。
書きかけの書類は書棚の奥に追いやられ、パソコンの中のデータは3年間いじることなく放置されたままです。
今では、この新ビジネスで自分が真に何をやりたかったのか、はっきりと思い出せなくなってきました。
そして恐ろしいことに、3年前の情熱がどこかに消えてしまいました・・・。
課題をつい後回しにして、遠ざける
このエピソードは、物事への取り組みをついつい後回しにする、そして、時間とともに継続力を失ってしまうという「架空のお話」です。
決して、現実の僕が情熱を失ったわけではありません (^-^)
しかしながら、この話の中にある気持ちや状況の変化は、物事に取り組むとき、大なり小なり、いつも我々に付きまとってはいないでしょうか。
忙しい毎日の中で、どうしても目先のことを優先してしまう。
その結果、やると決心した重要な課題でもすぐには困らないからといって、ついつい後回しにする。
そういう傾向は、きっとあると思います。
そして、これはきっと「時間の問題」だけはないですよね。
人は本来、集中できない生き物?
「人はもともと、集中力を持続するようにできていない」という説があります。
集中した状態を長時間保てない、という意味です。
このことはおそらく、「継続力」にもつながることでしょう。
この説によると、人というのは、まわりの環境によってつい意識が散漫になってしまう性質があるというのです。
その根拠は大昔に遡ります。
人類が狩猟をしていた時代、人には「一つのことに集中するのを避ける」という性質があったというのです。
いつ何者かに襲われるかわからないという状況では、一つのことに意識を集中して周りが見えなくなってしまうと、命にかかわることになる。
だから、あらゆる方向に注意を向けることで、危険を回避してきた。
つまり「集中力がないこと」によって生き延びてきた、という解釈だそうです。
あえて「散漫な状態になる」ということなのでしょうか。
この説を安直に解釈すれば、自分の散漫な精神がちょっと救われた気になりますが・・・ ( ̄▽ ̄;)
苦しみを避ける人の本能
人は集中したり継続することが苦手だとする見解に、僕はもう一つ理由があると思います。
それは、苦しみを避ける本能です。
何らかの努力をするということは、負担を抱えるということです。
人は、できるだけ苦しみを避けようとするので、余計なこと、面倒なことにはかかわらないようにする性質があると思います。
今よりも負担がかかる事態になることを、恐れるのです。
一種の防衛本能でしょうか。
ただし例外として、自分が情熱を持っているときや、楽しいと感じているとき、あるいは、誰かと共に取り組んでいるときなどは、たとえ困難な課題であっても負担に感じることなく取り組むことができる。
そうではないでしょうか。
デキる人はどうやって自分を操縦するのか
ところで、いわゆる「デキる人」は多くの課題に取り組み、多くの結果を残します。
それ以外の人よりも、明らかに生産性が高いのです。
なぜデキる人は、集中・継続して物事に取り組むことができるのでしょうか。
いろいろな見解を読み、実際にまわりの「デキる」人を見てみると、どうやら彼らは、「自分を動かすこと」に長けているようです。
自分を操縦するのがうまいのです。
僕が思うに、その秘密はどうやら彼らが「自分に打つ薬を持っている」ということです。
自分に打つ薬
「自分に打つ薬」
なにやら怪しい響きがありますが (^-^)
「薬」とは、自分をうまく動かすための「工夫」や「きっかけ」あるいは「栄養」のことです。
人は放っておけば、集中や継続することが苦手なのかもしれません。
だとすると、何かに取り組もうとしたら、どうにかして「自分を動かす」ということが必要になってきます。
自分が自分を押して、あるいは引っ張って、前に進めていくことが必要なのです。
では、自分を動かすのにどんな「薬」があるのでしょうか?
もちろん、飲んだり注射したりする薬ではありません (^-^)
課題に対する考え方や取り組み方です。
たくさんの方法のうち、誰にでも取り入れやすいものを少し挙げてみましょう。
「とりあえず始める」で自分を興奮させる
まずは「とりあえず始める」方法です。
全部をやりきるのではなく、準備だけ、入り口だけをやる。
例えば、「原稿を書き上げる」という課題なら、まずパソコンの電源を入れる、ファイルを開く、仮タイトルを打つ。
そこまでやったら寝よう。
あとは明日やる。
これでいいのです。
実際にやってみると、ファイルを開いてタイトルを打ったら、最初の見出しだけ打ちたくなった。
最初の見出しを打ったら、本文のアイデアが少し浮かんだ。
気がついたら、いくつかの段落を打っていた。
やる気がなかった作業に、ごくごく自然にやる気のスイッチが入って、いつのまにか没頭していた。
こういうこともあります。
この現象には、「作業興奮」と呼ばれる秘密があるのです。
とりあえず手を動かして準備している間に、脳内からドーパミンが出て、やる気が湧き出てくる現象です。
ドーパミンとは、「やる気」を出す神経伝達物質です。
ポイントはただ一つ。
「準備したら寝よう。最後まではやらない」と決めたことです。
これが手を動かす引き金になり、手を動かしたことが、興奮状態の引き金になったのです。
もし、最後までやろうと決めていたら、気が滅入ってしまい、手を動かすことすらできずに他の遊びを始めていたかもしれません。
また、実際にやってみたら本当に準備だけで終わってしまった。
それでもいいのです。
準備ができていれば(仮タイトルが書いてあれば)、翌日はその状態、つまり一歩進んだ状態から始められるからです。
また別な観点として、何かの作業を最初は5分だけ、しばらくしたら10分だけ、慣れてきたら15分やる。
こうした「わずかな着手」を段階的に増やしていくことも、「とりあえず開始」と同様に楽な取り組みになるでしょう。
デキる人は、どうしたら自分が動くか、どうしたら自分にギアが入るかを、知っているのです。
「ルーチン」で快楽作業にする
ひとつひとつの課題を、その都度考えてから実行するのはしんどいことです。
ですから、できる限り多くのことを「習慣化」してしまう。
型どおりの、決まり切ったものにしてしまう。
これも、自分を動かす方法です。
ルーチン作業であれば、考えなくても実行できますよね。
もちろん、実際に行なうときにはその都度頭を使うでしょう。
しかし、それを始めるための苦労は減るはずです。
ポイントは、課題をいかにしてルーチン作業に変えるか、です。
例えば、いつも同じ時間に行なう(朝9:30に行なう)。
例えば、いつも同じ順番で行なう(パソコンを起動したら最初に行なう)。
そうした普段のリズムの中に組み込んでしまうのが、楽かもしれません。
ルーチンをこなしていくと、課題をクリアしたことで「作業興奮」が出て気持ちよくなる。
快楽作業に変わるのです ヽ(゜∀゜ )ノ
「軽い運動」で幸せホルモンを出す
適度な運動をすることです。
運動によって体調が良くなるばかりか、課題をクリアするのにもってこいの「興奮・幸せホルモン」が出やすくなります。
「興奮・幸せホルモン」とは、脳内物質のことで、ここでは、ドーパミン、セロトニン、アセチルコリンなどを指します。
- 「ドーパミン」が出ると、嬉しい、幸せ、快感、などを感じて「やる気」が出る。
- 「セロトニン」が出ると、精神を安定させ、「覚醒」の作用をもたらす。
- 「アセチルコリン」が出ると、結びつかなかった記憶や情報がふと結びつくなど、「ひらめき」を生み出す。
運動によって、このような、自分のパフォーマンスを上げる様々な「興奮・幸せホルモン」が出やすくなるのです。
運動とは例えば、30分程度のウォーキングや、軽いジョギングなどでよいようです。
時間的に難しい場合には、「1駅歩き」「2駅歩き」など仕事や用事のついでにやってしまうのもよいかもしれません。
運動の後に作業ができたら、最高ですね。
脳内に「興奮・幸せホルモン」が出ているのですから。
運動は、できるだけ毎日続けると、効果が出やすいようです。
(「人は大昔から集中することを避けてきた」「脳内物質、作業興奮」などの見解は「コンラボ」サイトの「集中力を高める3つの方法と持続の仕組み」「脳活性化のツボ!脳を覚醒させるポイント3つ」より抜粋・引用 ブログ用に調整しています)
デキる人は、自分をそのままにしておかない
デキる人はこれ以外にも、自分に打つ「薬」、すなわち様々な「自分操縦術」を持っていると思います。
停滞する自分を、そのままにしておかないのです。
- 決して諦めない力
- とことん継続していく力
- 失敗を失敗と思わない心
- ネガティブな気持ちにとらわれない心
- 逆境にいてもどこか楽しむ力
これらを得るために、何かしらのきっかけ、コツを持っていると思います。
たくさんありますので、また別な機会に触れていきましょう。
物事に取り組むこと。
それを苦しみや負担ではなく「楽しいこと」「気持ちいいこと」に変えてしまう。
そうすると、パフォーマンスや結果は、著しく変わってくるでしょう。
デキる人とそうでない人の差は、実はこんな工夫にあるのかもしれませんね。
ではまた次回!
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